標準的なものほど売れやすい?-企業が顧客を獲得する方法
投稿日: 2014年02月04日
最終更新日: 2017年02月07日
多くの人が好みそうなものを考える
例えばあなたが企業の経営者だったとして、
「売れる製品を作りたい!」
と考えた場合、どのような製品を作りますか?
多くの企業で採用されている方法は、「できるだけ多くの人にマッチしている製品を考えて作る」というものです。
どのように考えれば多くの人にマッチするのでしょうか。そこで今回は、企業戦略の立てられ方を、統計的に考えてみたいと思います。
正規分布の教え
この図は「正規分布表」と呼ばれる有名なグラフです。真ん中が平均を示し、一番盛り上がっていることが分かると思います。合致する人数が多ければ多いほどグラフは盛り上がり、逆に少数の人しか当てはまらなければグラフは低くなります。
上記のグラフはテストの平均点などで説明されることも多く、直感的に理解してもらえるかと思います。
企業が商品開発する場合もこの正規分布の考え方を取り入れている場合が多く、どのような製品を世に出せばグラフ内の多くの面積を占有できるかについて考えるのです。
少ない面積の人しか占有できない製品よりも、多くの面積の人を満足させられるような製品を作れば、それだけ売上を伸ばすことができると考えるのです。
極端なものは選ばれにくい
全ての条件で正規分布の考え方が当てはまる訳ではありませんが、参考にはなります。右端や左端の、当てはまる人が少ない部分に向けて製品を作るより、真ん中の当てはまる人が多い部分に向けて製品を作った方が、たくさんの人に購入してもらえる可能性が高まります。
スマートフォンのサイズ
例えばスマートフォンの大きさについて考えた場合、人の手の大きさがどの程度か調査してみて、より多くの人の手のサイズにフィットするようなサイズで開発すれば、売上が伸びる可能性が高まります。
上記のグラフの真ん中部分が人の手の大きさの平均だとして、右に行けばいくほど手が大きい人、左に行けば手が小さい人と考え、出来るだけ多くの面積の人を占有できるようなジャストサイズを考えて開発していくのです。
スマートフォンの場合は多機能ですので、サイズ以外にも考えなければならないことがたくさんあります。色や操作性、持たせる機能、デフォルトアプリ、デザインなどなど、様々なニーズに応える必要がありますが、それも正規分布を使って考えることができます。
スマートフォンでは手の大きさを元にサイズを設定するということを述べましたが、サイズという面では洋服や帽子、家具や工具など、人が使うもののほとんどに正規分布の考え方が取り入れられて開発されています。
平均点な人のサイズを調べ、偏りすぎないように設計し、多くのニーズに応えようとします。
味つけ
味も好みですが、正規分布の考え方が当てはまります。薄味や濃い味を好む人もいますが、だいたい平均的に中ぐらいの味を好む人が相対的に多いと考えられます。
その場合、多くの人を満足させるには、平均的な味付けの製品を世に出すことが一番合理的な考え方であるということができます。
好む人数の少ない味付けをするより、多くの人を満足させる平均点な味つけは、多くのニーズに応えられる可能性があると考えます。
車の大きさ
車の大きさにも正規分布の考え方は当てはまります。小さな車を欲しがる人もいれば、大きな車を必要とする人もいるでしょう。
しかし、やはり真ん中の盛り上がっている部分というのは、中ぐらいの平均的な大きさの車なのです。
多くの人を満足させる車というのは、平均的な大きさの車である場合が多いです。
店舗の立地も同様に考えることができる
「電気屋の近くに電気屋は正解?-財布に優しい取引コストの法則」という記事でも書きましたが、店舗は街の中心部に集まりやすい傾向があります。
例えば街が円形だったとして、中心部まで徒歩何分かかるか調査した場合も、正規分布のグラフのような形になるでしょう。
グラフの左は1分以内、右に行けばいくほど時間がかかるとして、平均が10分だったとします。一番遠い人(グラフの右端)は20分かかるとします。
とすれば、街の中心部分に店舗を建てることは、より多くの人から近いという立地を実現することができます。
意思決定の材料になり得る
正規分布の考え方を応用すれば、より多くのニーズに応える方法が見えてくる場合があります。
「長いものに巻かれろ」という考え方に似ているかもしれませんが、平均的なもの、標準的なもの、正規分布の中心部分の面積をより多く占有できるものを開発した場合、たくさんの人を満足させられる可能性が高まるということです。