あなたの街のスーパー、他で見ますか?-スーパーが特定の地域に集中する理由

日常生活と経済学

投稿日: 2014年02月11日

最終更新日: 2017年02月07日

他の都道府県で見ないけど、なぜだろう?

地元のローカルなスーパーって、他の地域では見られない、ということって多くありませんか?

例えば地元のA市内には10店舗ほどあって結構人気店で、お客さんから親しまれているスーパーなのに、他の地域に行くと全く見ない、という現象です。

地元でこれだけ人気なんだから、他の地域に出店してもきっと成功するはずだから広範囲に展開すれば良いのになぁ、なんて思ったりしますよね。

今回は、スーパーが地元限定で、他に出店しない理由について考えてみたいと思います。これを読めば、きっと地元で頑張っているスーパーに、より一層の愛着を感じることができるはずです。

謎を解く鍵はドミナント戦略

スーパーが地元にしか出店しない理由は、そのスーパーが「ドミナント戦略」を採用しているからです。

ドミナント戦略は、全国展開するのではなく特定の地域に特化することにより、細かなサービスや品揃えを提供し、顧客を獲得する戦略のことです。

全国展開は、それはそれで様々なメリットがあるのですが、特定の地域に特化する戦略は、それはそれでメリットがあるのです。

それでは、ドミナント戦略のメリットとは、どのようなものが考えられるのでしょうか。

店舗に迅速に配送できる仕組み

ドミナント戦略では、様々な顧客ニーズに迅速に対応するため、拠点となる大きな倉庫をまず作ります。これは店舗を作る前に行われることが多く、店舗の倉庫を活用するよりむしろ地域全体を網羅できるような巨大な倉庫と流通網を左記に完成させます。

拠点となる巨大な倉庫をまず作り、その周辺地域に店舗を展開することで、必要な製品をすぐに店舗に運べるようになります。

例えばXという製品が品薄になり、明日にも完売しそうだという状況になった場合、すぐに店舗まで品薄製品を配送してもらうことも可能になるという訳です。

1台の配送トラックで近隣店舗数件分をカバーすることで、配送コストも抑えることができ、その結果として顧客への負担も軽減させているということができます。

拠点ができたら一気に増える

ドミナント戦略の場合、1店舗を2店舗にすることは簡単ですが、0店舗を1店舗にする最初の一手が大掛かりとなります。

従って、店舗を出店する候補地を厳選し、データを集め、利益を上げることができる地域かどうか、その企業独自のネットワークを駆使して調べ上げます。

条件に合致した地域に出店することを決めたら、多額の投資を敢行し、拠点となる倉庫を作ります。

拠点さえできてしまえば、あとは店舗を作って流通網を整えるだけですので、(最初の1店舗目よりは)簡単に作ることができます(上記のような候補地の調査が必要ないため)。

以上のような理由により、ある特定の地域にのみ特化して出店するスーパーがあるのです。

コンビニやファミレスでも見られる現象

スーパーに限らず、コンビニやファミレスでも同様の現象は見られます。

生鮮食品を扱う業者は鮮度が高いうちに消費者の元へ届けることが至上命題ですので、近くに拠点となる倉庫がある事は好都合です。

また、特定の地域に特化して店舗出店することで、その地域の市場シェアを向上させることにもつながります。主婦や同級生の間でクチコミが起こりやすい環境を作り出すことができますし、事前に十分に調査しているのでその地域のニーズに合致した商品を取り揃えやすいことなどがその理由です。

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特定の地域に特化することで、顧客のニーズにあったサービスを提供することができる可能性が高くなり、配送のスピードをアップさせたりコストを削減して低価格で商品を提供することができるようになる。

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