アジア通貨危機とは

用語集

投稿日: 2014年02月12日

最終更新日: 2017年02月07日

アジア諸国に大きな経済的打撃を与えた

アジア諸国の貨幣価値が下落するのではないかとの投資家たちの不安と、ヘッジファンドの空売りにより、アジア諸国の通貨が一気に下落した現象のことをアジア通貨危機といいます。

1990年代、アジアの新興市場国はドルペッグ制を導入していました。アメリカがドル高政策(強いドル政策)を打ち出したことでドルペッグ制を導入しているアジア各国の輸出は伸び悩んでしまい(その国の貨幣価値が上がるとその国で作られている商品が相対的に割高になるから)、経常収支赤字に悩まされるようになります。

投資家たちの不安を誘い、ヘッジファンドに火がついた

ドルペッグ制下のアジア諸国は経常黒字に転換できる望みが薄くなったと感じられるようになり、投資家たちに不安を焼き付けました。そうなるとさらにアジア諸国の通貨は売られるようになり、価値が下落していってしまいます。

そうなるとドルペッグ制を維持できるのも時間の問題であるとヘッジファンドに予想され、大量に貨幣を空売りされるようになりました。空売りは値下がりすれば儲かり、値上がりすると損をする手法ですが、当時のアジア諸国の通貨は大幅な上昇が見込める状況ではなく、ヘッジファンドから格好の標的となってしまったのです。

海外投資家の資金の引き上げには外貨が必要ですが、外貨が底をついた国はドルペッグ制の維持を断念してしまい、大幅な貨幣価値の下落を招く結果となりました。タイやインドネシア、韓国は甚大な被害を被りました。

definition
ヘッジファンドは信用取引により、元手の何倍もの資金を使ってアジア諸国を苦しめた。
アジア通貨危機はマネー経済の規模の大きさを実感できる事例の1つ。

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