消費者にとっては良い迷惑?-家電量販店における囚人のジレンマ
投稿日: 2014年02月16日
最終更新日: 2017年02月07日
値引き合戦と家電量販店
家電量販店は値引き合戦を繰り広げているように見えますが、実はある意味協調していると考えることができます。
協調や裏切りは囚人のジレンマでよく例に挙げられる言葉ですが、これが実際の企業戦略にも関係しています。
今回は、囚人のジレンマと家電量販店の値引き合戦について考えてみたいと思います。そこには意外な戦略が隠されていることが分かります。
繰り返し囚人のジレンマが起こっている
囚人のジレンマには、単発のものと繰り返しのものがあり、両者で結果が異なっています。
単発の囚人のジレンマは、囚人同士は裏切り合う結果になるのに対し、繰り返し囚人のジレンマは、お互いに協調する道を選ぶ事があります。
現実の社会では、単発ということはほとんどなく、繰り返し囚人のジレンマが圧倒的多数を占めます。
例えば家電量販店の値引き合戦も、終わりのない戦いです。企業が存続する限り、永遠に値引き合戦は行われるでしょう。しかし、家電量販店も利益を確保するために、あまり値引きはしたくないというのがホンネでしょう。他社と張り合って値引き下は良いものの、それで利益が獲得できなければ経営そのものが揺らいでしまいますからね。
しっぺ返し戦略を宣言している?
家電量販店での決まり文句は
「他社より1円でも高い場合はお値引き致します」
というものです。実はコレ、サービスのように見えますが、本当はしっぺ返し戦略なのです。
しっぺ返し戦略とは、(無限)繰り返し囚人のジレンマの状況下で採られる戦略で、
「相手が裏切らなければこちらも協調する」
「相手が裏切ったらこちらも裏切る」
というものです。
家電量販店の例に当てはめると、
「相手が値引きしなければこちらも値引きしません」
「相手がもし値引きしたら、こちらも値引きします」
という宣言をしている事になります。やられたらやり返す、以前流行ったドラマの決め台詞みたいですね!
消費者からは手痛い仕打ち
このしっぺ返し戦略や繰り返し囚人のジレンマは、消費者にとっては痛いところです。
消費者は少しでも安い価格で製品を購入したいのに、あらかじめ協調がなされていたら、なかなか値引き合戦が起こってくれません。値引き合戦を起こすには、企業にどんどん競争をさせるのが良いのですが、それでは企業の利益が確保できません。
これはこれで、ジレンマなのかも知れませんね。
ちなみに家電量販店に関連した記事として「ポイント還元の仕組みと秘密-ロックイン戦略」という考え方を示したものもありますので、併せてお読み頂ければ企業戦略についてさらに多くの知識を提供できると存じます。
家電量販店は値引きだけでなく、ポイント還元制度やロックイン戦略など、様々な方法を駆使して顧客を取り込もうとしているのです。