スマホの台頭でゲーム業界に革命が起こる?-裁定は市場を統合する仕組み
投稿日: 2014年02月16日
最終更新日: 2017年02月07日
スマートフォンの性質
最近人気のスマートフォンは、もはや電話するためだけの道具ではありません。電話はもちろん、インターネットのフルブラウザでの閲覧、メール、LINE(アプリ)、スケジュール管理、そしてゲーム。
小さな筐体に技術が詰め込まれており、とてもユーザビリティの高い製品になっています。
今後もその人気と進化は続きそうです。
このグラフはスマホとフィーチャーフォンの出荷台数の比率を示した物ですが、圧倒的にスマホの比率が高いことが分かります。そして、今後もその傾向は続く物と思われます。
多機能で便利なスマホですが、それゆえ様々な分野に影響を与えます。今回は、スマホとゲーム業界の関係について、裁定の考え方を取り入れながら考えてみたいと思います。
自然と行われる裁定とは?
まず、裁定とは、同じ製品が同じ時点で異なる価格で販売されているときに発生する現象です。
間に誰かが入って転売を繰り返し、同じ価格に均される場合もあれば、自然と裁定が働く場合もあります。同じ時点で違う価格で売られているということは、どちらかが高くてどちらかが安いという事になります。
とすると、誰もが安い方を買いたがり、高い方は全く売れなくなってしまいます。仕方なく、高い価格で売っていた人は、売れる価格(安い価格)まで値下げしなければならず、結果として両者は同じ価格に均されるという事になります。
裁定が働くのは同じ製品ばかりとは限りません。似たような製品、代わりになる製品の間でも裁定は働きます。
既存のゲーム機もスマホを意識する理由
携帯ゲーム機とスマホの間でも、裁定は働きます。携帯ゲーム機を使う場合、本体とソフトを買わなければなりませんが、スマホは無料アプリでたくさんのゲームが用意されています。
どちらを利用しても「ゲームをする」ことには変わりませんから、「ただ単にゲームをするだけでいい」と考えている人は、わざわざ携帯ゲーム機を購入しようとは思わず、スマホの無料アプリで十分だと考えるでしょう。すると、携帯ゲーム機を販売している企業は、顧客をスマホに取られてしまう事になります。
これまで「ゲームをする」となると、固定形式も携帯形式も、ゲーム機本体とソフトを購入しなければなりませんでしたが、スマホがその常識を覆したという訳です。これまで独占的にゲーム業界を支配していた企業でも、スマホの台頭によりスマホゲームも意識せざるを得ない状態になったと考えることができます。
「既にスマホを持っているから、それを使ってゲームを楽しめば無料だ」
「新しいゲーム機を買うのは高いから、スマホで我慢しよう」
という現象が起こった場合、裁定が働いたと考えることができる。
裁定は市場を統合する性質がある
これまでゲーム制作会社とスマートフォンは無関係でしたが、スマホゲームというジャンルのせいで裁定が働くようになり、競争にさらされることになりました。ゲームというカテゴリーはクオリティが重要ですので一概に比較することは間違っているかもしれませんが、顧客の奪い合いが発生しているのは事実です。
このような現象はゲームとスマホ以外にも様々なところで見ることができます。裁定が行われると、個別の市場が大きな市場に統合されることがあります。裁定が分かると、経済の裏側をちょっとだけ覗くことができる事もあるのです。