iPhoneはなぜ売れる?-人気者がますます人気者になる仕組み
投稿日: 2014年01月13日
最終更新日: 2017年02月07日
凄まじい広がりを見せるiPhone
巷を席巻し、普及率は飛ぶ鳥を落とす勢いのiPhone。その普及は今や小学生などの若年層や、これまでインターネットやクラウドをほとんど利用してこなかった中高年にも及んでいます。
その普及率上昇の理由は様々ですが、今回は「iPhoneにはネットワーク外部性が作用している」との見地から、経済学的な観点でiPhoneの人気の秘訣を探ってみたいと思います。
ネットワーク外部性とは何か
あるものの利用者が増えると、すでにそれを利用している人の利便性が追加の出資なしで上がること。
電話やファックス、言語などで例えられることが多い。
pointにあるように、ネットワーク外部性とは、あるもののユーザーが増えれば増えるほど、それを利用する全ての人の利便性が向上する環境を指します。
電話を例に挙げるなら、電話機を持っている人は多ければ多いほど、電話そのものが便利になります。たくさんの人が持っていれば、たくさんの人と電話することができますからね。逆に1人しか持っていなければ、電話の価値は無いも同然と考えることができます。
ファックスも言語も、同様の考え方をすることができます。みんなが使っているから便利、という考え方です。
iPhoneとネットワーク外部性
私も他ならぬiPhoneユーザーなのですが、iPhoneを使っていてよく思うのが、
「iPhoneにもネットワーク外部性が働いているなぁ」
ということです。どういうことか、具体例を挙げながらご説明してみたいと思います。
機能や使用方法などの情報を共有できる
使い方などでよくわからない事がある場合、身近にiPhoneユーザーがたくさんいるので、すぐに質問することができます。
身近にいないとしても、ユーザーが多いので、Googleなどで検索すると、すぐ質問に対する回答を得ることができます。
iPhoneについての基本的な利用方法や、ちょっと上級者向けのテクニックなどを紹介しているサイトもたくさんあります。
どれもiPhoneのユーザーが多いからこそ実現できる出来事です。極端な話し、iPhoneを自分1人しか使っていなかったら、誰にも質問することもできず、問題解決までに途方もない時間と労力を使う事になってしまいます。
使っている人が多いから、情報が豊富に出回り、素早く問題解決できる
iPhoneケースや付属品が普及する
使っている人が多いデバイスの場合、ケースや付属品も世の中に多く出回る可能性が高くなります。
ケースやその他の付属品を作るのは、本家Appleの他にも様々な企業が存在します。企業は、儲かる見込みのないものは作りません。それならば、使っている人数が少ない物より使っている人数が多いものの方が儲かる可能性が高い。作っても買ってくれる人が少ない市場より多い方が儲かる可能性が高い。
スマホケースショップやケータイショップ、家電量販店などのスマホケースコーナーを見ればわかるように、iPhoneのケースは他のものより品揃えが充実しています。
アプリが充実する
アプリも主に企業が作りますが、ケース同様、多くの人に使ってもらえてナンボという側面があります。
また、使っている人が多くなればなるほど、アプリそのものの価値も上がって行ったりします。例えば、メールアプリのLINEも、ネットワーク外部性が働いていると考えられます。
違う側面では、使っている人が多いiPhoneでは、アプリのカスタマーレビューが集まりやすいというメリットもあります。
アプリをインストールするか考える際、どのようなアプリか分からない、使っている人の意見や評判が知りたい、と思うことは多いはずです。この点、使っている人が多いiPhoneの場合、アプリダウンロード数もそれに比例して多くなりますので、たくさんのカスタマーレビューが集まりやすくなると考えることができます。
初対面でも会話の種になる
初対面で何を話したらいいかわからない場合、相手も自分と同じiPhoneを使っている場合、それだけで会話の種にすることができるかもしれません。
ケースを見せ合ったり、機能についての話しをしたり、キャリアの違いについて比較したり、乗り換えの手順について話したりできるかもしれません。
お互いにiPhoneユーザーであるというだけで、話せる内容は多いはずです。
これも、ネットワーク外部性のメリットを享受することができる瞬間と言えるでしょう。
とっさの時に充電できたりする
例えばあなたが友人宅に遊びに行った際、充電がなくなった場合、その友達もiPhoneユーザーだった場合、充電器を借りることができるかもしれません。
また、外出先で充電切れになった場合、身近にいる人がiPhone用のポータブル充電器を持っていて、貸してくれることもあるかもしれません。
これもネットワーク外部性が働いたことにより享受できるメリットと考えるることができるかもしれませんね。
身の回りの物事を注意してみればいろいろ見付かる
今回はiPhoneに焦点を当ててご紹介してまいりましたが、ちょっと探せば他にも色々とネットワーク外部性が働いているものを見つけることができるでしょう。
企業にとって自社製品がネットワーク外部性の恩恵を享受できるか否か、自社製品がデファクトスタンダード(事実標準)を獲得することができるか否かは、極めて重要なことであると考えられます。そのためには初期のシェアを少しでも多く獲得することができるかが鍵を握ります。
そのため、何か新しい分野、まだ市場の標準的な規格が定まっていない分野に企業が参入する場合、初期のシェアを多く獲得するために、一見損と思われるような行動を取ったりするのです。
長いものに巻かれるのも悪くない
人間、若い頃は、
「俺は人とは違う」
「自分しか持っていないものを持ちたい」
「人と同じなんて、まっぴらだ」
などとあまのじゃくなことを考えてしまいがちですが、ネットワーク外部性を考えると、長いものに巻かれる、人と同じものを使って見るのも悪くありません。
ネットワーク外部性の良い所は「追加の出資なしでもメリットを享受できる」というところにあります。皆さんもぜひ、無料でこのメリットを享受されてはいかがでしょうか?