メイドインジャパンでも激安?-企業が安く商品を作れる理由は機会費用にアリ!
投稿日: 2014年02月01日
最終更新日: 2017年02月07日
日本製でも安いものはあるか?
海外の安い労働力を多用している昨今、「日本製=高価」というのが定説になりつつあります。
しかし、機会費用の考え方を応用すると、日本製が高いとは言い切れないことがあります。
機会費用とは、「資源を他のことに振り向けた場合に得られる最大の利益」と説明されますが、この定義だけでは「なぜ日本製のものが高いとは限らないのか」という問いの答えになっていません。
そこで今回は、機会費用の激安メイドインジャパン製品について考えてみたいと思います。この考え方は、世の中に出回っている「格安商品」の理由を考えるときに有効です。
機会費用について考えてみる
さて、機会費用とは一体どのようなものなのでしょうか。製造業を例に見てみることにしましょう。
例えば工場にAとBの2つの機械があり、全て通過しないと完成品とはならないとします。しかし、AとBが同じスピードで作業できる訳ではなく、1つ1つの機械がとても高価なため機械そのものを追加購入することができないとします。
Aが製品1つを作るのに5時間かかるとして、Bは製品1つを作るのに10時間かかるとします。AB両方の行程を経なければ完成品とはならないため、この場合Bに歩調を合わせなければならないということです。
Aが作ることのできる製品をフル操業で作ったとしても、結局はB待ちになるので、Aが作る仕掛品がどんどん溜まっていってしまいます。この場合のBを「ボトルネック」と呼んだりします。
さて、AはBに歩調を合わせて作業しなければならないため、10時間のうち5時間は待たなければなりません。その間、Aは何もせず止まっていたら、もったいないですよね?
この遊んでいる設備Aの転用こそ、激安商品の鍵となるのです。
既存設備の転用が鍵
例えば設備Aが、その工場で本来作るべき製品の仕掛品を作る以外に転用することができるとします。
原材料さえあれば、Aだけで完成させることができるとすれば、新たな設備投資の必要も無く、新製品を生み出すことができます。
この場合、設備AはBが作業する間何もせず遊んでいた訳ですから、機会費用はゼロと考えることができます(この場合、他に振り向けるべき用途があれば機会費用が発生します)。
つまり、原材料以外には追加の出資は必要なく、工場としてはその原材料より少し高い価格で新製品を売ることができれば十分利益が上げられるという事になります。
その結果、(待ち時間の間に作られた)新製品は卸売価格、小売価格とも激安の水準を達成することができ、メイドインジャパンでもとても安い製品が世に送り出せるという事になります。
既存設備は新製品のためにあるのではなく、既存製品のためにあるので、新たな設備投資も不要で、新製品が負担すべき固定費もゼロで済む。
身の回りにも様々な機会費用がある
会計上の費用や収益だけにとらわれず、機会費用の考え方を日常生活に取り入れてみると、いろんなことが見えてきます。
遊んでいるとき、勉強しているとき、アルバイトをしている時、スマホでゲームしている時、他に振り向けるべき何かがあるなら、そこには機会費用が発生しているという事になります。
今回の工場の例のように、遊んでいる能力を他のことに振り向けることができれば、そこから思わぬ利益が得られる事もあるかもしれませんね。