宅配ピザはなぜ高くても売れる?-商品価格と取引コストの関係

日常生活と経済学

投稿日: 2014年02月11日

最終更新日: 2017年02月07日

宅配ピザって割高ですよね?

ピザはスーパーで冷凍物や冷蔵物は300〜500円程度で売っています。自分で作るとしたら、もっと割安に抑えることができます。

それに比べて宅配ピザは、スーパーで売っているのとほぼ同じ大きさのものでも1,500〜2,500円ほどします。

比べてみるととても割高ですが、宅配ピザの人気は衰えることを知りません。クリスマスなどの季節イベント時には予約が殺到している状況です。

今回は、なぜ宅配ピザはこんなにも人気なのか、取引コストと関連づけて考えてみたいと思います。そこには人が無意識のうちに計算している「何か」が隠れているはずです。

売れる理由は味が良いからだけでしょうか?

確かに、宅配ピザは美味しいから売れるという理由もあるでしょう。しかし、それだけでしょうか。

宅配ピザが人気である理由は、「電話1本で数十分以内に熱々を届けてくれる」という手軽さが関係していると考えられます。

それが本格的な味ならなおさら人気になるという訳です。

実はこの手軽さと取引コスト(手間)が関係しているのです。

人は無意識に取引コストを削減している

宅配ピザを注文する、スーパーで買ってきたものを自宅で焼く、生地から自分で作る、という3パターンを考えてみましょう。

宅配ピザを注文する場合、必要となる金額は2,000円とします。必要となる手間はほとんどありません。後片付けに空箱を捨てる程度です。

次に、スーパーで買ってきたものを自宅で焼く場合、必要となる金額は既製品購入代金400円、水道光熱費200円の計600円とします。必要となる手間は、スーパーに買い物に行く、オーブンで焼く、ピザを切る、使った食器を片付ける、などが考えられます。近頃はコンビニでもピザを販売していますが、買いに行く手間がかかるのは同じことです。冬の寒い日や夏の暑い日などは、買い物に行くのも一苦労ですし時間もかかります。さらに自分で調理しなければならないという手間もかかります。

最後に、生地から自分で作る場合を考えてみたいと思います。必要となる金額は原材料費の合計300円、水道光熱費200円の計500円とします。金額的には既製品と大差ありませんが、味のクオリティは既製品を上回っているでしょう。この場合の手間は上記の買い物や焼く作業、後片付けに加え、生地を練る、イーストを入れて発酵させる、打ち粉をして生地を成型する、などの手間がかかります。生地を練り込むだけでもそれ相応の時間が必要となり、技術も知識も必要となります。

金額的には宅配2,000円、既製品600円、自作500円となっておりますが、必要となる手間は後者に行くに従って増えていることが分かると思います。ここで言う手間こそが、経済学で言う取引コストなのです。

スーパーで買ったり自分で作ったりすれば宅配ピザを注文するより安上がりですが、めんどくさいです。この「めんどくさい」や「時間がない」といった問題を2,000円で買っているとも考えることができます。ピザそのものだけに料金を支払っているのではなく、サービスにも支払っていると考えられます。

definition
宅配ピザと既製品・自作の差額を埋めるのが取引コスト。手間賃と考えることもできる。人は無意識に手間賃を計算し、「差額を支払っても良い」と納得した上で宅配ピザを注文している。

今回は宅配ピザに限った例をご紹介致しましたが、宅配系のサービスならほとんど同じことが言えるでしょう。

取引コストを考えれば商機有り!

人の手間を省いてあげる、人がめんどくさいと感じることを代わりにやってあげる、それでいてクオリティの高い製品を提供する、ということができれば、少し高いと感じる金額でも払う人はたくさんいます。

とてもめんどくさいことを誰かがやってくれれば、とても高い金額でも支払うということができるかもしれません。

いかに人の取引コストを削減してあげられるか、いかに人にラクさせてあげるか、ということを考えれば、たくさんのビジネスチャンスがあるかもしれませんね。

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