ネットオークションは逆選択の温床?-ニセモノを掴まされない利用法

逆選択

投稿日: 2014年02月15日

最終更新日: 2017年02月07日

情報が少ない買い手は困る?

インターネットの普及により、誰でもオークションに参加できるようになりました。落札者(入札者)としての参加だけでなく、出品者としての参加もできます。

以前までは家に転がっていた不要なものは捨てるかリサイクルショップなどに売り払うかしか処分方法はありませんでしたが、インターネットオークションを活用することで、

「本当にそれの価値が分かる人に適正価格で販売することができる」

ようになりました。見る人が見れば価値の高い物でも、分からないにとってはゴミ同然ですからね。

価値が分からない人は、それを必要としていないので捨ててしまう事もあったかもしれません。しかし、今は誰でもオークションで出品できる時代です。世の中の多くの人に見てもらうことで、それの本来の価値が分かるかもしれませんし、それこそ「日の目を見る」ことにもなるかもしれません。

こんなに便利なネットオークションですが、問題点もたくさんあります。特に気をつけたいのは、売り手には限られた情報しか与えられない事から生ずる逆選択の問題があります。

今回は、ネットオークションにおける逆選択をまずご紹介していきます。そして、それを踏まえた上で、ネットオークションの正しい活用法について考えてみたいと思います。

ネットオークションは逆選択が起こりやすい

ネットオークションでは、買い手の情報量に対し売り手の情報量は圧倒的に劣ります。これを、情報の非対称性と言います。

情報の非対称性がある環境下での商品売買は、逆選択がつきものです。逆選択とは、情報が不足しているために市場全体が粗悪品で埋め尽くされてしまい、良品の取引は行われなくなってしまうことです。ネットオークションにおける逆選択は、以下のような流れで引き起こされます。

逆選択が起こる流れ

1. Aという人がブランド品の財布(ホンモノ)を20万円で出品しています。
2. Bという人がブランド品の財布(こちらはニセモノ)を5万円で出品しています。
3. Cという人が、ブランド品の財布をネットオークションで探しています。
4. CさんはAさんとBさん、どちらがホンモノか分からないので、両者の中間の金額、12万5,000円で買おうと決めます(情報が少ない場合、そうせざるを得ない)。
5. Aさんは12万5,000円ではなく20万円で売りたいので、安くしないと売れないと分かれば、売るのをやめてしまいます。
6. これら一連の流れが繰り返されることで、市場から良品(ホンモノ)が消えてしまいます。

逆選択は選択の逆

数あるものの中から良いものを選ぶ行為を選択と呼ぶなら、逆選択は数あるものの中から悪い物を選んでしまう行為であると考えることができます。

情報の非対称性がある環境下では、このような逆選択が起こってしまう可能性があります。

評価やコメントは画期的な方法

ここからは、現実のネットオークションの世界をご紹介していきたいと思います。

上記のような逆選択が起こり続けていたら、誰もネットオークションを利用しなくなってしまいますよね。しかし、現実には今もネットオークションでは盛んに商品が取引されています。そこには、情報の非対称性をなくす工夫が詰め込まれています。

まずは出品者の評価という機能が便利です。どのような人が出品しているのか分からない商品より、多くの人に信頼されている人から買うことにより、ニセモノを掴まされる可能性は大幅に減ると考えられます。

ネットオークションには「評価」という機能があり、商品を売買した売り手と買い手が互いに評価し合います。取引が円滑だったかどうか、商品はお目当ての物だったかどうかなどを総合的に勘案し、評価します。評価の高い人はニセモノを売ったりお金をだまし取ったりする可能性が低く、評価が著しく低い人は、売買契約を結んでも正しく取引されない可能性があると考えることができます。

評価という機能があるおかげで、取引する人全員に緊張感を持たせることができます。ネットオークションを利用したいと考えている人は、誰でも評価を下げられたくないので(中には例外もありますが…)、きちんとした取引をしよう、売り手ならきちんとした商品を出品しようというインセンティブが働きます。

従って、評価の高い人というのはこれまで真摯にネットオークションに取り組んで来た可能性が高く、売り手も買い手も高評価は安心材料として考えることができます。

また、その出品者や落札者に対するコメントを公開しているネットオークションサイトもあり、以前のその人の取引に対する姿勢を誰でも読むことができるので、取引の際の参考にすることができます。

商品画像や商品説明もチェック!

最近のネットオークションサイトでは、商品に関する写真を大きく鮮明に表示する機能があります。出品者はこれを利用して

「これはニセモノではありませんよ」
「ちゃんとした商品ですよ」

とアピールすることができます。商品に関する鑑定書なども一緒に撮影している出品者も多く、それも安心材料として考えることができます。

また、商品説明の欄に古物商許可番号や、返品に関する情報を詳細に記述している出品者もおり、これも情報の非対称性を緩和させる手法と考えることができます。

definition
ネットオークションにおける評価や商品画像、詳細な商品説明などは買い手に対して発信しているシグナルと考えることができます。
売り手が情報発信するために行うこのような行為をシグナリングと呼びます。
シグナリングはニセモノを扱う人が真似できないような内容であるほど、効果が高いと考えられます。

最終的には自分で判断するしかない

サイト運営者も出品者も、逆選択が起こらないように、取引が正しく行われるように細心の注意を払っていますし、いろいろな工夫をしておりますが、最終的に入札するのは自分自身です。

逆選択や情報の非対称性に注意しながら、自分自身で情報を集め、入札を行うしかありません。

しかし、大変ですが、ネットオークションでしか手に入らない素敵な商品もたくさんあります。ネットオークションを楽しむためには、情報の真偽を見抜く目が必要なのかも知れませんね。

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