ありがた迷惑かも?-他人の機会費用を考えることの意義
投稿日: 2014年02月01日
最終更新日: 2017年02月07日
自分の尺度だけで考えていませんか?
サービスや恩返しのつもりで、後輩やお世話になっている人に食事をごちそうしたりすることは誰にでもあります。
しかし、そのような場合に考えなければならないのは、「他人の機会費用」というものです。
人付き合いを上手にするには、この「他人の機会費用」を理解する必要があります。
今回は、コミュニケーションツールとして機会費用の考え方を活用する方法について考えてみたいと思います。こちらは善意のつもりでやっていることも、相手からしたら迷惑、なんてことが起こらないように、どのように振る舞えば良いのかについて考えてみましょう。
自らの機会費用は以外と簡単に分かる
他人の機会費用について考える前に、自分の機会費用について考えてみましょう。
機会費用とは数ある選択肢の中からあるものを選び、それを選んだことによって諦めなければならなくなった利益や満足のことを言います。
金銭的な尺度で計れない「満足」とか「幸福感」などといったものも含まれますが、それらを自分で勘案するのは以外と簡単で、実は誰でも無意識にやっていることなのです。
つまらないからやらない、面白いからやる、もっと面白いことが見付かったから、そっちを優先的にやる、といった具合です。
自分で自分の楽しいことを考えるのは簡単ですが、他人のことを考えるとなると難しいものです。
他人の機会費用を考えるのは難しい。
善かれと思って誘ったけど…
例えばあなたが普段お世話になっている人たちに食事会を企画したとします。費用は全てあなたが負担し、皆が喜びそうな人気のあるレストランを予約したとしましょう。
このときあなたは、
「自分が全て費用を負担しているんだから、文句言われる事はない」
「誰にも迷惑はかけていない」
「みんな喜んでくれているはずだ」
と考えないように注意するべきでしょう。そのような考え方をしてしまうと、他人の機会費用を無視しているという事になってしまいます。
あなたが全て費用を負担しているからといって、そこに誘われた人には他の用事があるかもしれませんし、本当はそこのお店の料理が好きではないかもしれません。その時間を他のことに振り向けた方がその人に取っては満足度が大きいかもしれないという事もあるのです。
結婚披露宴の乾杯の挨拶で新郎が
「本日は我々2人のためにご多忙の所わざわざお越しいただき…」
とお礼を述べるのに似ていますね。
出席者たちはその日そのときに結婚披露宴が無ければ、他のことをして何らかの満足が得られたかもしれないのに、それらをやらずにお祝いに駆けつけた人の気持ちに配慮した挨拶と考えることができます。
機会費用はコミュニケーションツールにもなり得る
このように、機会費用は人とうまくコミュニケーションをとる手段としても活用することができる考え方です。
他人に時間や労力を使ってもらう場合、主催者は機会費用のことも考えておかなければ、ありがた迷惑という悲しい結末になってしまいかねません。
呼ぶ方も来る方も気持ちよくそのひとときを過ごすために、お互いに機会費用に配慮しながら関係を築いていきたいものですね。