同じ製品でも売るタイミングで値段が違うのはなぜ?-企業の巧みな価格差別

価格差別

投稿日: 2014年02月16日

最終更新日: 2017年02月07日

早く買おうとすると高い

早く買おうとすると値段が高く、遅く買おうとすると値段が下がる物があります。

例えば映画は、早く観たいと思えば映画館に行けば観ることができますが、高いお金を払わなければなりません。DVDやブルーレイで発売されるのを待てば安く購入できる上に、何度も観ることができます。しかも、それらの映画のDVDやブルーレイは、時間と共に値下がりしていきます。

このように、時間が経てば価格が下がるものは存在します。ではなぜ企業は、このように時間による価格差を設定するのでしょうか。今回は、時間による価格の違いと価格差別の関係について考えてみたいと思います。

企業が価格差をつける理由

アパレル製品などは、新作は高いですが古いモデルの物は割安で手に入ります。通常時に購入しようとする人は、高いお金を払ってでもすぐにトレンドのものを手に入れたいと思う人であると考えることができます。

それらのアパレル製品は、時としてバーゲンセールが行われます。同じ製品であるにも関わらず、バーゲンセール時は通常時と比べて2〜3割程度、安く買うことができます。このバーゲンセールを狙って買う人は、価格に敏感な人であると企業は考えます。

つまり、時間により異なる価格を設定することにより、企業は高くても買う人には高く売り、安くしないと買わない人には安く売って利益を最大化させているのです。異なる価格を設定すれば、どちらの顧客も囲い込むことができるようになります。

この場合の「高くても買う」人には優越感がある

上記の例では、早く手に入れるには高い金額を支払う必要があります。映画もファッションも、早く観たり早く着たりするには高いお金を支払う必要があります。

しかし、早くそれらを享受できた人には、ある優越感があります。満足度とも言い換えることができるかもしれません。経済学ではこれを効用と言いますが、人はこの効用に高いお金を払っていると考えることができます。

最新の映画を観て人に自慢したり、最新の流行ファッションを着たりすることは、その人にとっては効用が高いのかもしれません。高い満足感を得るためには、高い金額を支払う、という人には、企業は高い価格を設定するのです。

同じ時点で価格差がある場合も

今回は時間により価格が異なることがある、という例をご紹介しましたが、このような価格差は同じ時点でもあり得ます。

例えばカメラや車、パソコンなどは、基本となるベースは同じでも、グレードが異なったりオプションが異なったりして価格差が付けられていることがあります。

高級感あふれるデザインに仕上がっている物は価格が高く、シンプルな物は価格が安い、といった価格差を儲けることで、様々な顧客をターゲットにしているのですね。

これも高くても買う人には高く売り、安くしないと買わない人には安く売るという価格差別の応用であると考えることができます。

definition
時間による価格差や、製品のデザインによる価格差がある商品を見付けた場合、企業の価格差別戦略の可能性がある。
身の回りにあるものを注意深く見てみると、企業の価格差別戦略が見えてくる事が多い。

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