格安の秘密は限界費用?-余っているものを狙って得をする!

日常生活と経済学

投稿日: 2014年02月02日

最終更新日: 2017年02月07日

限界費用とは何か

経済学でいう「限界」という言葉は、日常生活で使う「限界」と根本的に意味が違います。

日常生活で「限界」といえば、リミット、これ以上は無理な上限、という意味で使います。「もう限界だ!」などがそれです。

一方経済学では、「限界」とは「増加分」を示し、リミットの意味はありません。限界費用という言葉の意味は、「費用の増加分」という意味です。

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経済学の「限界」は「増加分」という意味。
日常生活で使う「限界」とは根本的に意味が違うので注意が必要。

製品1つ作るごとに追加的に必要となる費用を限界費用といいます。今回は、この「限界費用」の考え方を踏まえて、なぜ「格安商品」が出回るのかについて考えてみたいと思います。思わぬところに格安商品が見付かるかもしれません。

主製品に対し副製品は限界費用が安い

例えば企業がAという主力製品を作っているとします。設備投資はもちろん、原材料の仕入、職人の確保、流通網の構築、営業費、広告宣伝費などにお金を使ってAを製造・販売しているとします。

この場合Aの価格は、1単位当たり作るのに必要な原価を計算し、それに利益分を乗せて決定されるはずです。全てのコストを吸収し、さらに利益を上乗せした価格設定をしなければ赤字になってしまうからです。直課または配賦により原価を計算し、コストプラス方式などで利益計算する、といった具合です。

そのように価格計算された製品Aは、原材料費とはかけ離れた、高額なものになってしまうことが普通です。これはたくさん利益を乗せているからではなく、コストが原材料費以外にたくさんかかっているため、仕方の無いことなのです。

製品1単位当たりの限界費用を計算するとしても、原材料費だけでは済まず、上記のコストを按分計算して負担させるため、金額が上がってしまいます。

設備や職人が空いている時間に違う製品を作ればどうか?

主製品は広告宣伝費や営業費なども負担しなければならないため原価が高くなってしまいますが、工場などが空いている時間に違う製品を作ると、原価は原材料費などに限定され、安価な製品を作ることができるようになります。

あくまでも空いている時間というのが前提ですので、主製品の生産に干渉してはいけませんが、それでも安価に作ることができれば消費者に喜んでもらうことができます。

メイドインジャパンでも激安?-企業が安く商品を作れる理由は機会費用にアリ!」という記事でも書きましたが、余剰の資源を使って製品を作ると、限界費用も抑えられ、驚くほど安価で良質なものを作ることができる場合があります。

ホテルの格安宿泊料金の秘密

同じことが、ホテル経営にも当てはめることがでいます。

ホテルは宿泊客を獲得するために設備を整え、広告宣伝費をかけて集客するのが一般的です。

しかし、ホテルに泊まる人数が多くても少なくても、ホテルの部屋数は変わりません。

つまり、100部屋あるホテルだとしたら、100部屋全て埋まろうが、50部屋しか埋まらない日だろうが、ホテルの部屋数は100部屋のままであるということができます。

50部屋しか埋まっていない場合、残り50部屋が遊んでしまう事になりますから、低価格でも良いから泊まってもらいたいとホテルオーナーなら考えるはずです。この場合の限界費用は、部屋のメンテナンス料金だけです。

ですから、直前(例えば当日素泊まりなど)だと「超」低価格でホテルに宿泊できるような場合があるのです。

飛行機の格安チケットの秘密

ホテルの例と似たものに、飛行機があります。飛行機にも限界費用の法則が当てはまります。

飛行機は空席があろうが無かろうが、フライトする事自体に変更はありませんので、少しでも空席を減らしたいと思うはずです。

空席から得られるお金はゼロですが、安くてもお客様が入ってくれれば確実に収入を増やすことができますからね。安くても、空席よりは良いはずです。

ですから、直前になって格安で航空券を売りに出す場合があるのです。空席が1つ埋まる場合の限界費用って、とても小さいものですからね。

直前は以外と狙い目かも?

ホテルの例や飛行機の例で見たように、直前だと格安になる場合って意外と多いです。

当サイトの管理人も「直前格安」の恩恵を受けたことは何度もありますし、他の人もたくさん経験があるかもしれません。

限界費用に着目すると、格安の理由が分かってきますよね。

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限界費用が分かれば格安の理由が見えてくる。
直前に安く売り出される宿泊券や搭乗券にも理由がある。

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