カネは商品?-変動相場制によるマネー経済の成長について

投資

投稿日: 2014年02月02日

最終更新日: 2017年02月07日

固定相場制ではできなかった投機的売買

戦後の日本は経済的にも不安定だったため、固定相場制のもと再出発を果たしました。固定相場制ではカネを投機的に売買することはできません。

しかし、1971年のニクソンショック、1973年の「変動相場制への移行」を通じて、状況は一変しました。

今回は、変動相場制とマネー経済の関係について考えてみたいと思います。カネを投機的に考える、安く買って高く売るという金儲けがカネを媒体に成立する仕組みについて見ていくことにしましょう。

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固定相場制ではお金を商品にして利潤を得ることはできない(安いも高いも無く価格が一定だから)。
しかし、変動相場制ではお金が安いときに買い、高いときに売るという手法が可能となる。

マネー経済は飛躍的に成長した

普段の普通の買い物、例えばスーパーに行って大根を100円で買う、などの消費活動は「実体経済」といいます。

それに対し、お金でお金を買い、その利ざやを稼いだりときには損をしたり、お金自体を商品をみなして売買する活動のことを「マネー経済」といいます。

変動相場制に移行したばかりの1970年代後半や1980年代は、マネー経済はほとんど流行しておらず、ごく一部でした。

しかし今や、世界のお金の流れのほとんど(9割以上)がマネー経済によるものとなっております。為替や株などの投機的な市場で動くお金が、実体経済を大幅に上回っているという状況が続いているということです。

従って、マネー経済の動きを把握しておくということは、現在の世界の経済状況を把握する上で極めて重要であるということができます。

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現在、世界のお金の動きの実に9割以上がマネー経済によるもの。
経済を知る上で、マネー経済の動きや仕組みについて知るのは極めて重要。

個人でもマネー経済に進出できる時代になった

FXや株式取引など、以前はごく一部の人しか参入できない市場でしたが、今はパソコンやスマートフォンで簡単に売買することができるようになりました。

それこそ個人のお小遣いの範囲で売買できるものもあり、個人で参入しやすい状況になっていることは明らかです。

参加しやすい状況ということは、その参加人数が増えるということにもつながり、そこで動く金額も大きくなるという事になります。

最近の証券会社の(ネット上の)手数料は驚くほど安く抑えられており、参入の間口は広いと考えても良いでしょう。

若いうちから資産運用について勉強し、実践している賢明な投資家も多く、今後も個人投資家は増え続けていくと考えられます。

為替変動のリスクを回避する商品が続々と登場

固定相場制から変動相場制に移行したことにより、為替変動によるリスクという概念が生まれました。

為替変動によるリスクとは為替が変動することにより、得をしたり損をしたりすることがあるという事です。リスクは危険性という意味ではなく、「ばらつきがある」と解釈すると分かりやすいかもしれません。

輸出入を行う企業にとってこの「ばらつき」は、本業とは無関係な場合が多く、できるだけ回避したいと考えるようになります。回避しなければ「本業は順調なのに為替が不利に動いたから赤字になってしまった」ということもあり得るからです。

そこで生み出されたのが金融派生商品というものです。企業はこの金融派生商品を巧みに利用し、リスクを回避(リスクヘッジ)しようとします。

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企業はデリバティブやオプション取引といった金融派生商品を活用し、リスクヘッジしている。
このような行動もマネー経済の取引量を増やす一因になっていると考えられる。

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