思いもかけない悪い結果を誘発?-インセンティブの失敗
投稿日: 2014年02月10日
最終更新日: 2017年02月07日
部下や子供を思い通りに動かしたいが…
周囲の人をうまく動かしたいと思っている経営者は多いはずです。それなのに、うまく動かせるとは限りません。
「人にご褒美や罰を与えて何かをやる気にさせたりやめる気にさせる」ことをインセンティブといいますが、このインセンティブは意図した通りに働かない事もあります。
「そういうことをさせたくて作った決まりじゃないのに…」
といったこともしばしば。ご褒美や罰則が裏目に出て、意図した通りに人が動いてくれない。こんな経験は親や先生、管理者なら誰でもあるはず。
今回は、このようなインセンティブの失敗についてご紹介し、それを踏まえた上でインセンティブをどのように活用すべきかについて考えてみたいと思います。
インセンティブは思い通りに働かないこともある
例えば子供に習い事をさせるとして、親や先生が「ちゃんとしなさい」「まじめにやりなさい」と厳しく言っても、なかなかまじめに取り組んでくれないことは多いでしょう。
子供からしたら、「叱られるからまじめにやろう」というインセンティブは働きにくく、逆に「叱られるぐらいなら、その習い事をやめたい」というインセンティブが働いてしまう事もあるでしょう。そうなるとますますまじめに取り組まなくなってしまいます。
「叱る」というムチでインセンティブを与えたつもりが、効果的に作用しなかった一例です。
「まじめにやったらご褒美を与える」というアメのインセンティブを与えても、必ずしもうまくいくとは限りません。ご褒美目当てにまじめにやっているふりをして、先生の前でだけ体よく振る舞えば良い、などと考えられたら本末転倒です。先生さえ騙せればご褒美がもらえる、といった歪な習い事になってしまい、本質的な解決にはなりません。
ただ褒めるだけでは環境は良くならない
実際にあった例なのですが、とある学習塾で先生が、出来の良かった生徒を他の生徒たちの前で褒めて。
先生は「生徒は褒められるのが嬉しくて、もっと勉強するようになるはずだ」と考えたのですが、褒められた生徒は逆に勉強しなくなってしまったのです。
褒められるのが嫌だった訳ではなく、褒められたことにより周囲の友達からいじめられるのが嫌だったのです。
授業で先生が生徒に質問した時、答えの解った生徒は挙手をして答えようとしても
「あいつは先生から褒められようとしている」
「先生はあいつのことがお気に入りだ」
と思われるのが怖くてなかなか挙手することができない生徒もいるのです。
「褒めるだけで、あとは知りません」というインセンティブでは、うまくいかない事もあるのです。
事前に色々シミュレーションしてみる
インセンティブを効果的に働かせるためには、事前にいろいろシミュレーションしてみることが大切です。
思いつきで深い理由を考えず、その規則を作ったらどうなるかを表裏からよく考えた上で実行しないと、インセンティブの歪みを招きかねません。
インセンティブにより人々を思い通りに動かすというのは、大人でも子供でも、とても難しいことなんですね。