人を動かすって難しい?-経済学的アメとムチ
投稿日: 2014年01月14日
最終更新日: 2017年02月07日
人を動かす誘因
人々は誘因(インセンティブ)によって動かされています。
「豊かになりたい」「利益を得たい」というインセンティブが働くことで、人は一生懸命仕事をします。
例えば、頑張ればお金がいっぱい稼げるという仕事がある場合、お金が欲しい人は一生懸命働きます。それは「働けばお金がもらえる」というインセンティブがあるからです。
もし上司がいい加減で、お金を払ったり払わなかったりするような人なら、そのような人の下で働きたいとは誰も思いません。そのような状況では、「お金」というインセンティブがなくなってしまう可能性があるからです。
インセンティブには、人の行動を変えてしまう力があり、また、無意識に人を動かす力もあります。
今回は、インセンティブとはどういうことなのか、インセンティブの基礎を理解する方法と、そのインセンティブを利用する方法についてご紹介していきたいと思います。
様々な人がインセンティブで動いている
合理的なことでも非合理的なことでも、人間の行動の裏にはインセンティブが見え隠れしている。
意識的でも無意識でも、人はインセンティブによって動かされています。
インセンティブは、「人間の欲望を満たそうとする感情」と良い変えると分かりやすいかもしれません。
例えばお金以外では、可愛い彼女が欲しい、イケメンの彼氏が欲しい、美味しいものが食べたい、素敵なところに旅行に行きたい、目立ちたい、人気者になりたい、などなど、全てがインセンティブです。
これらの欲望を満たすために人は合理的に行動すると考えるのが、経済学です。
インセンティブは日常生活の至る所に存在します。
インセンティブの効果
例えば、高速道路のETC割引きも、インセンティブを巧みに利用したシステムであると考えることができます。
政府は平日昼間の渋滞を少しでも緩和したいと考えました。そこで、比較的交通量の少ない深夜や土日祝日の通行料金を引き下げる事にしました。
そうすることで、人々の中で「深夜や土日祝日なら安く高速を利用できる」というインセンティブが働き、安い時間帯に利用できるなら、その時間に高速を使った方がお得だと考えるようになります。
それに伴い、人々は可能な限り安い時間帯に使おうとする。
結果として交通渋滞が緩和される。
政府は命令するのではなく、インセンティブを刺激して渋滞緩和策を打ち出したところがポイントです。
この場合はいわゆる「アメ」ですが、混雑時の料金を引き上げると「ムチ」のインセンティブとなります。
使い方次第で人も使える?
上記の例の政府の行動のように、インセンティブはうまく利用することで人の行動をコントロールすることができます。命令したり強制的にやらせたりするのではなく、インセンティブを刺激し触発させることで、人は行動します。
「言っても聞かなければ叩いて分からせろ」
ではなく、
「言って分からなければインセンティブを刺激して行動させてみよう」
という事になります。どうしても言うことを聞かない子供に言うことを聞かせるには、ご褒美などの現物を与えてみると、「○○したらご褒美がもらえるようになる」というインセンティブが、子供ながらに働くものです。
これは大人にも有効で、大人のご褒美を与えれば、大人も行動させることができるようになるかもしれません。会社でも町内活動などのボランティア活動でも、同様に考えることができます。
人が言うことを聞いてくれないときには、
「ひょっとしてインセンティブを刺激できてないのか?」
「欲しいものをご褒美としてあげられていないのか?」
と考えることで、打開策が見付かるかもしれませんね。