とても忙しいとき周囲の人にイライラしてませんか?-比較優位の効率的活用法

比較優位

投稿日: 2014年02月10日

最終更新日: 2017年02月07日

多忙な時ってありますよね

とても忙しいときは、猫の手も借りたいと本気で感じる場合があります。

長期でも短期でも、ものすごく忙しいときってありますよね。そういうときに限って、周囲の人は何も協力してくれない、自分だけが忙しいと考えてしまいがちです。

今回は、このような超多忙な状況において、どのように考え行動すれば良いのかについて考えてみたいと思います。比較優位の考え方を応用すれば、きっと分業が成功するはずです。

短時間で多くの作業をこなさなければならない場合

これは実際にあった話しなのですが、例えば地元の町内会でお祭りに参加するとして、太鼓を叩かなければならないとします。

太鼓を叩くには、お祭り当日の朝に山車(太鼓を叩くための動く舞台)を掃除、装飾し、短時間でキレイに仕上げなければなりません。

町内行事は基本的にボランティアですので、前日に多くの人をお手伝いに呼ぶこともできず、当日の朝に作業しなければならないとします。

山車の装飾に関して、全ての手順を知っている人が1人しかいないとして、その人をAさんとしましょう。Aさんは少ない時間でたくさんの作業をしなければなりません。

道具の準備から掃除、装飾品の取付け、太鼓の設置、電飾の配置など、やらなければならないことは山ほどあります。

この場合、全ての手順を知っているAさんは、どのように考え、行動すれば良いのでしょうか。

猫の手も借りたいとき、どう借りれば良いか

上記のような状況の場合、Aさん1人では時間内に完成させるのは不可能です。効率良く分業するしかありません。

その場合、Aさんは直接的に作業に加わるのではなく、他の人たちに手伝ってもらうべく、指示を与える側に回った方が効率的です。

経済学的に言うと、Aさんは全ての作業を掌握しているので、管理することに比較優位があると考えられます。他方、具体的な作業内容を知らない他の人たちは、直接的な作業をすることに比較優位があると考えられます。

効率的に分業するためには、比較優位があるほうの作業に特化すればいいという訳です。どのような作業もAさんがやれば一番早いのは明確ですが、Aさんは1人しかいないのですべての作業を時間内に行うことはできません。

従って、Aさんは(作業は一番早いけど)作業すべきではありません。どのように作業すれば良いのか指示を出し、他の人の協力を得るべきです。Aさん以外の人でも、指示さえ仰げば(Aさんほどの効率はないとしても)作業を進めることはできるはずです。

何も知らない「他の人」たちは、指示がないと何もすることがなく、何をして良いのかも分からず、途方に暮れてしまうことでしょう。Aさんが指示を出さずに作業してしまうと、Aさんだけが忙しくなり、他の人は何もすることができず(やりたくても何をしていいのか分からないから作業できない)、Aさん1人がイライラする結果となってしまいます。そして時間内には終わらない。これは誤った決断であるといわざるを得ません。

definition
作業内容を熟知している人は、作業スピードは速くても、直接作業を行うべきではない。比較優位がある方の作業に専念すべき。

社長と秘書の関係

似たような事例で、社長と秘書の話しと言うものがありますので、ご紹介しておきます。

膨大な資料を整理しなければならないという作業があるとして、それを社長が行うか秘書が行うか考えてみましょう。資料整理のスピードは、社長が秘書の2倍だとします。

このような場合でも、社長は書類整理をすべきではないという理由が分かりますか?

社長には、書類整理以外に、「会社を管理しなければならない」という仕事があり、この仕事に関して社長より比較優位を持っている人はいません。もしいたら、その人が社長になる方が相応しいですからね。

例え書類整理のスピードは劣るとしても、書類整理の作業は秘書がやるべきです。社長が書類整理の作業をしてしまうと、その間社長は会社の管理をすることができなくなってしまいます。

definition
他の誰にもできない作業がある場合、その人はその作業に専念すべき。
誰かに任せられる作業があるなら任せて、自分にしかできない作業に特化した方が効率的。

日常生活の中にも、比較優位の考え方を取り入れれば効率的に行うことができるという状況はあると思います。「1人だけ忙しい」という状況を回避するためにも、比較優位の考え方を取り入れてみて下さい。

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