クーポンアプリを使う人はケチなのか?-賢い消費者と価格差別

価格差別

投稿日: 2014年02月15日

最終更新日: 2017年02月07日

店はクーポンを使って欲しくないのか?

店に持って行って提示すれば、なんらかのサービスが受けられるのがクーポンです。

店側はクーポンの提示を受けたら割引きや無料サービスなどを施してくれる場合がほとんどです。

使って欲しくないなどとんでもない、クーポンは企業戦略を練るために重要な役割を果たしますので、使ってくれることを望んでいるのです。

では、企業はなぜこのようなクーポンシステムを導入しているのでしょうか。そこには顧客のグループ分けと価格差別という経済事象が隠されています。

多様化するクーポン

最近では、クーポンに特化したスマホアプリが登場するなど、クーポンそのものの形態も多様化しつつあります。

以前であれば、チラシ広告の隅っこについているちっちゃいクーポンを切り取って財布にしまっておき、いざその店に行ったときに使用する、という方法しかありませんでした。

現在でもその方法は通用しますが、スマートフォンの普及に伴い、クーポンを専門的に扱うアプリや、企業ごとにアプリを作成し、そこにクーポン機能を搭載させている場合もあります。

これにより、手軽にクーポンが利用できるようになったのですが、企業としてはもう少し手間のかかる形式の方がデータが採取しやすいでしょうが、これも時代の流れなのかも知れません。

企業が気になる顧客行動

スマホアプリではなく紙媒体としてのクーポン券しかない場合、顧客はクーポン券を利用するまでに手間と時間をかけなければなりません。小さく切り取って、紛失しないように財布に忍ばせ、しかもそのことを忘れないうちに利用可能期間以内に使わなければならないからです。

そこまで手間と時間をかけてでもクーポン券を使って割引きや無料サービスを受ける顧客というのは、企業からしたら「価格に敏感な人」と考えることができます。そして、そのような人がその地域に何割程度存在するのかを集計し、今後の価格戦略に役立てようとするのです。

普通、価格に敏感ではない人は、手間や時間をかけてまでクーポン券を利用したいとは思いませんから、クーポン利用は企業にとってはありがたい情報を与えてくれる消費者の行動であると考えることができます。

さて、現在は紙媒体でなくスマホアプリでのクーポンも人気ですから、ある意味手軽になったと考えることができるかもしれません。手軽になったということは、手間や時間をかけなくてもクーポンを利用することができるということですから、紙媒体ほど有益なデータは提供しないかもしれません。しかし、スマホアプリにはそれ特有の宣伝効果という物もありますので、その効果も企業は活用していると考えられます。

つまり、クーポンを利用するためには、顧客情報を入力しなければ使うことができなかったり、月にその人が何回、どこでそのクーポンを使ったかなどのデータを集計することができるようになります。紙媒体のクーポンではできなかったデータ収集が、デジタル媒体ではできる事もあるということです。

賢い消費者になるために

こまめにクーポンを利用する消費者は、ケチでもなんでもありません。むしろ、企業に「価格に敏感な消費者」であるとアピールする事につながり、しかも財布にも優しい機能なのですから、咎められる事はないでしょう。

しかし、クーポンにはロックイン(顧客を自社に閉じ込める)などの戦略も仕組まれている可能性がありますので、冷静な店選びは依然として大切です。

賢い消費者になれば、企業の行動の裏側が理解できるようになります。広告やクーポンを使う時は、「この企業はなぜこのような行動をとるのだろう」と考えてみることで、企業のホンネが見えてくるかもしれません。

この記事のタグ