人付き合いは協調関係?-繰り返し囚人のジレンマと信頼
投稿日: 2014年02月17日
最終更新日: 2017年02月07日
信頼を得るには裏切らなければ良い?
最近知り合った人や一度きりの接触しかなかった人より、昔から知っている人の方が親近感を持てるようになります。
これは、その人の名前や顔、声を知っているというだけでなく、信頼関係を築けているからに他なりません。
今回は、経済学と信頼関係について考えてみたいと思います。日本的な取引の考え方や協調を生む仕組みが、人間関係にも当てはまるのではないか、という考え方をご紹介してみたいと思います。
繰り返し囚人のジレンマについて
経済学にはゲーム理論という分野があり、その中で繰り返し囚人のジレンマというものがあります。
繰り返し囚人のジレンマの教えは、今後も長い付き合いをしていくのだから、お互い裏切らずに協調していこう、さもなくば報復を受けてお互いに消耗し合ってしまう、というものです。
信頼して協調を結んだ方が、両者の利益を最大化させるというのが繰り返し囚人のジレンマです。裏切れば一時的に裏切った方に大きな利益をもたらしますが、これが継続する関係にある場合、たかが一回の裏切りで利益を得たとしても、今後ずっと繰り返されるので、今後の利益を失う事になってしまいます。
将来の利益を犠牲にしてまで、一回の利益を多く得ようと考える人は少ないはずです。繰り返し囚人のジレンマが起こっている環境では、裏切ればしっぺ返し戦略をされてしまうので、逆に裏切られる事になります。
長く付き合う相手かそうじゃないか
単発の囚人のジレンマの場合、お互い裏切り合うという結論でしたが、繰り返し囚人のジレンマの場合は結果が異なる場合があります。
その場限り、一度限りの付き合いで、今後関係を維持させるつもりがない、という相手の場合、人は信頼関係を生み出そうとせず、利益を搾取しようとします。
単発の囚人のジレンマの場合、お互いの利益が最大となるのは、お互いに協調した時ですが、相談もできず拘束力のある協定もない場合、個々の利益のみを考えて行動することになりますので、お互いに裏切り合う結果となってしまいます。
付き合いが長くなるほど将来を考えた接し方をするのは、経済学の観点からも説明することができます。今回の記事では、人と人の接し方について例を挙げてまいりましたが、これは企業と企業との接し方にも同じようなことがいえます。
将来を考えてる取引先の場合、繰り返し囚人のジレンマとなり、協調の道が拓けてきます。
将来を考えるほどに協調を選びやすくなる
「次があるから」
「この先長い付き合いになるから」
と考えることで、その相手に対する態度も変わってくるでしょう。将来の利益を大事に考える場合、浅はかな裏切りは逆効果となってしまい、お互いの信頼関係を崩してしまうことにもなります。
言い換えれば、信頼を失ってしまう事になる。人は長い付き合いになるであろう相手の場合、将来の利益を大切にするため裏切りにくくなる。