結果だけでなく努力も見て欲しい!-モラルハザードと成果主義の関係
投稿日: 2014年02月12日
最終更新日: 2017年02月07日
結果だけで判断していませんか?
観察することができない場合、人はサボってしまう可能性があります。これはモラルハザードと呼ばれるもので、国や企業に不利益をもたらすものです。
観察することが難しい場合は結果から努力を推測しようとするのが成果主義です。そもそも観察にはとてもコストがかかり、企業が社員1人1人をチェックしたり、国が企業1つ1つをチェックするのは不可能であると考えられます。そこで考案されたのが、成果主義です。
例えば車屋さんが成果主義を採用している場合は、売った台数次第で営業担当者の給料を計算する、といった具合です。1台売れたら10万円、2台売れたら20万円、といったように、成果に応じて給料を支払うという仕組みです。
このような成果主義による給料システムは、社員たちに頑張ってもらえるような合理的システムにも見えますが、これでは社員のやる気はどんどん下がっていってしまいます。
ではなぜ成果主義では社員のやる気は無くなってしまうのでしょうか。成果主義とモラルハザードの関係について考えてみたいと思います。
努力が結果に結びつかないことも多い
結果は努力以外にも様々な要因で得られるもので、努力すれば結果が得られると一概には言えないのが実情です。
季節的な要因や運も必要かもしれません。自分ではコントロールすることができない要因も含んで、それに努力が加わってようやく結果が出せるのです。
それなのに、結果しか見てくれないとなると、努力したのに給料がもらえないという場合もあるかもしれません。全てを結果だけで判断しようとするのは、時として社員たちの努力を度外視してしまう可能性もあるのです。
結果が出にくい、努力が結果に結びつきにくい仕事というものもあり、それらに対応するには成果主義だけでは不十分であるといわざるを得ません。
社員をやる気にさせるインセンティブが必要
社員たちに観察されていない状況下でも努力してもらうにはどうしたら良いのでしょうか。
観察していないところでも努力したくなるようなインセンティブを利用するのも1つの手段と言えるでしょう。
ホンダの歴史にヒントがある
社員たちにインセンティブを与える天才である本田宗一郎(自動車メーカー・ホンダの創業者)の言葉を引用してみます。
人間は楽しんでいるときに最高の力を発揮する。
社員たちがやりがいを見付ければ、新しい可能性が生まれる。
本田宗一郎は社員たちの士気を上げるために、マン島TT(ツーリストトロフィ)レースに参戦し、一致団結して世界一に輝きました。参戦を決める前は社員たちの士気が下がり、会社も深刻な経営危機に瀕していました。しかしこのレースの参戦を決めてから社員たちは団結し、士気を高め、観察されていない状況下においても努力を続けたのです。
やがてホンダは経営危機を脱し、世界的な企業へと成長していきました。
観察できない状況での努力が大切
これから会社の面接がある方や、会社での成績がなかなか上がらずに悩んでいる方は、一度客観的に自分のモラルハザードについて考えてみてはいかがでしょうか。
観察されていないところで努力する人材は、どの企業も欲しがります。
「見られていないから…」と、気が緩んでしまっていることもあったかもしれません。
モラルハザードの教えは、努力が報われないということではありません。観察する仕組みを作っていない企業が悪い訳でもありません。自分のしている行為がモラルハザードだったと認識し、改善させようとすることこそ、真の教えであると考えます。